年収下がる転職はやめとけ?20代の許容ラインと採用側の本音

年収下がる転職はやめとけ?20代の許容ラインと採用側の本音
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「この会社に行きたい。でも、いまより年収が下がる

提示された金額を見て、そのまま返事ができずにここへ来たのだと思います。

先に言っておきます。その「怖い」は正しい感覚です。ただし、怖がるべき場所は、世間で言われているものとは少し違います。

私(PAPAO)は、年収が下がるとわかっていて転職して、そのあと生活を立て直すのに何年もかかりました。手取りが月4万円減り、最後は子どものために積んでいた学資保険まで解約しています。

PAPAO
PAPAO

あのときの自分に読ませたい記事を、いま書いています

転職で年収が下がった私の失敗と教訓…



そんな私が、いまは採用する側にいます。29社と渡り歩いた末に落ち着いた先が、人を採る仕事でした。金額を提示されるほうから、提示するほうへ回ったわけです。

そこで初めてわかったことがあります。提示額が低いのは、その人の価値が低いからではないということです。

提示額が低いのは、その人の価値が低いからではないということです。

この記事では、20代が許容していい年収ダウンはどこまでか、なぜ企業はその金額しか出せないのか、そして下げていい転職と絶対にやめとけな転職の見分け方を、データと採用側の実務からお話しします。


【結論】転職で年収が下がる許容範囲は「1割」まで|20代の判断基準

結論】転職で年収が下がる許容範囲は「1割」まで|20代の判断基準



理由も体験談もこのあと全部書きます。ただ、いま返事を待たせている人もいると思うので、先に答えだけ出しておきます。

その提示額を受けていいのか、断ったほうがいいのか。分かれ目は、下がる金額そのものではありません。


年収ダウンの許容範囲は、額面ではなく手取りの月額で見る

「年収50万ダウン」と言われても、多くの人はピンときません。私もそうでした。頭では計算できているつもりでも、実感がないんです。

だから必ず、月の手取りに割り戻してください。年収が50万円下がるということは、賞与の比率にもよりますが、ざっくり月の手取りが3〜4万円減るということです。

この数字にしてから、自分に聞いてみてください。毎月3万円、何をやめれば出てくるか。答えが出ないなら、その転職は生活水準を削る前提の転職です。

MAMAO
MAMAO

年収で考えるとぼんやりするけど、月3万って言われると急にリアルですね


私が最初に削ったのは週末の外食で、次が趣味、最後が保険でした。順番はだいたいみんな同じになります。


1割を超えて許容していいのは、下がる理由が「業界の給与水準」ではないとき

目安は年収の1割までです。これは私が勝手に決めた数字ではありません。

厚生労働省の雇用動向調査は、転職後に賃金がどう変わったかを集計するとき、増えた人と減った人をそれぞれ「1割以上」と「1割未満」に分けています。国が転職の賃金を数えるときに、1割のところで線を引いているわけです。

この線には意味があります。1割未満なら、入社後の評価一回でひっくり返せる範囲。年収400万円なら40万円、月の手取りにして2万円台です。半年後の査定で戻せる会社はいくらでもあります。

1割を超えると、話が変わります。昇給を数年積み重ねて、やっと元いた位置。その間ずっと、同世代より低い給料で働き続けることになります。

ただし、1割を超えても受けていい場合はあります。下がる理由が「業界の給与水準そのもの」ではないときです。ここが、この記事でいちばんお伝えしたい分かれ目なので、順を追って説明していきます。


転職で年収が下がる人の割合は?20代の年収ダウンは実は少数派

基準の話をしたので、次は自分がどのくらいのリスクゾーンにいるのかを確かめます。

ここは感覚ではなく数字で見てください。

転職で年収が下がる割合は全体で約3割。ただし増えた人のほうが多い

厚生労働省「令和6年上半期雇用動向調査」によると、転職して前職より賃金が減った人の割合は28.9%。増えた人は40.0%、変わらない人が29.5%です。減った人のうち1割以上減ったのは21.1%でした。

よく言われる「転職すると3人に1人は年収が下がる」は、この数字のことです。ただしこの言い方だと、増えた人が4割いることが抜け落ちます。実際には、増えた人のほうが11ポイント多いのが最新の状況です。


【年代別】20代前半で年収ダウンした人は6〜7人に1人

そして年齢階級別に見ると、話がまったく変わります。同じ調査の内訳がこちらです。

年齢増加変わらない減少うち1割以上の減少
20〜24歳53.2%30.0%15.4%10.3%
25〜29歳46.0%24.5%27.7%15.4%
30〜34歳43.9%31.6%24.2%15.4%
50〜54歳34.1%34.4%30.7%22.6%
60〜64歳13.7%24.3%60.1%54.8%
全体40.0%29.5%28.9%21.1%
※厚生労働省「令和6年上半期雇用動向調査」より作成

20〜24歳で年収が下がった人は15.4%。6〜7人に1人です。半数以上は増えています。25〜29歳でも27.7%で、全体平均より下でした。

一方で60代前半は6割が下がっていて、しかもその大半が1割以上のダウンです。「転職すると年収が下がる」という通説は、主に上の世代の話だと考えていいくらい差が開いています。


20代の年収ダウンだけが、あとから取り返せる理由

この数字が示しているのは、20代の年収は「前職いくらだったか」で決まる割合が小さいということです。

40代の年収は、それまでの積み上げの結果として説明がつきます。だから前職より下げると、その人の評価そのものを下げたことになる。取り返すには実績を作り直すしかありません。

20代はそこがまだ固まっていません。だから下がりやすくもあるし、次の一回で戻しやすくもある。同じ年収ダウンでも、20代のそれは一時的な凹みで、40代のそれは水準の変更です。ここが決定的に違います。

とはいえ「20代なら下げても平気」ではありません。下げ方を間違えると、20代でも戻れなくなります。次は、その戻れなくなった側の話です。

自分の年収が低すぎる気がして落ち込んでいるなら、その比較対象のほうを疑ってみてください。平均年収おかしい!自分が低すぎと感じたら正解|盛られた数字のカラクリを採用担当が本音解説


【体験談】転職で年収が下がって後悔した話|減ったのは金額ではなく選択肢だった

【体験談】転職で年収が下がって後悔した話|減ったのは金額ではなく選択肢だった


ここまでは統計の話でした。ただ、20代の15.4%という数字を見ても、自分がその15.4%に入ったときに毎日どうなるのかは分かりません。

私はその側に入りました。生活が実際どう変わったのかを書きます。

転職前:無職の焦りが「これくらいなら」と年収ダウンを飲ませた

面接で提示額を聞かされたとき、一瞬、頭が真っ白になりました。想定よりはるかに低かったからです。

ただ、当時の私は無職でした。前の会社を勢いで辞めていて、貯金も減っていて、とにかく次を決めなければという状態です。

その場で私が考えたのは「節約すればなんとかなる」でした。

いま思えば、これは判断ではありません。断るという選択肢を持っていなかっただけです。

PAPAO
PAPAO

お金に余裕がないと、人は交渉ではなく受諾しかできなくなります



あのとき私に足りなかったのは、交渉力でも情報でもありません。他にも受かっている会社がある、という状態です。行き先がそこしかない人に、断るという選択肢はない。断れないなら、交渉もできません。

私の年収を決めていたのは、経歴でも実力でもありません。後がなかった、というそれだけです。あのとき私が持っていたカードは1枚で、しかも捨てられないカードでした。

PAPAO
PAPAO

金がないから即決して、入って冷静になって、やっぱり違うと辞める…その繰り返しでした…


転職直後:手取りが月4万円減って、最初に消えたもの

働き始めて最初の給与明細を見たときのことは、いまでも覚えています。手取りが月4万円以上も減っていました。

わかっていたはずの数字なのに、実際に印字されたものを見ると別物でした。

「本当に下がったんだ」と、そこで初めて腹に入った感じです。

最初に消えたのは週末の外食でした。子どもが「マクドナルド行きたい」と言う。私は「今日は家で食べよう」と返す。千円か二千円の話です。

一回なら、なんてことはありません。ただ、これを毎週やります。断るほうも、断られるほうも、だんだん慣れていく。そのうち子どもは、言わなくなりました。

次が自分の趣味と飲み会でした。友人からの誘いを断る回数が増えました。お金がないからというより、仕事の話をされるのが嫌だったからです。

それでも足りず、最後に学資保険を解約しました。子どもの将来のために積んでいたお金を、今日の生活費に回したわけです。

MAMAO
MAMAO

あのときは本当に辛かったです


ここが、私が一番後悔している一点です。自分が我慢するのは選んだ結果なのでいい。妻にこれを言わせたことは、いまも消えません。

生活水準は一度上がると、下げるのに時間がかかります。

年収が下がった翌月から、支出が同じ幅で落ちることはありません。差額はどこかから埋めるしかない。埋める場所がなくなった先に、あの解約がありました。


年収が下がると、自分の市場価値まで下がった気がしてくる

お金の話より重かったのは、こちらです。

年収が下がると、自分の仕事の価値そのものが下がったように感じます。同じ仕事をしていても、評価されている実感が持てない。「この金額が、世間から見た自分の値段なんだ」と思い込みました。

そうなると、仕事への熱も落ちます。落ちるから成果も出ない。成果が出ないから昇給もしない。年収ダウンの本当の怖さは、この下向きのループに入ってしまうことです。

私はこのループから抜けるために、また転職しました。そしてまた選び方を間違えました。何度も繰り返して、ようやく理由がわかったのが次の話です。


年収ダウンの本当の原因は、業界の給与水準の天井だった

なぜあのとき年収が50万円以上も下がったのか?


答えは単純で、儲かっていない業界に移ったからです。

業界には給与の相場があります。利益率の低いビジネスをしている業界には、そもそも高給取りが存在しません。個人が頑張って超えられる話ではないんです。

PAPAO
PAPAO

業界格差は本当にあります。選ぶ商売を間違うと、一生高給取りにはなれません

わかりやすい例を挙げます。前職で年収600万円の課長だった人が、同じ職種のまま別の業界に移る。役職は部長に上がる。それでも年収480万円、ということが普通に起こります。

転職先の経営者
転職先の経営者

これでも、うちでは超破格の給料だよ

役職が上がったのに、年収は下がる。業界が違えば、これが普通に起こります。能力の問題ではなく、器の問題です。

ただ、逆のパターンも経験しています。私はその後、前職より役職が下がるのに年収は上がるという転職をしました。肩書きは落ちたのに、手取りは増えたわけです。

さらにいまの会社は、未経験の業界への転職です。それでも職種の経験が続いていたので、これまでで一番高い年収になっています。

この3つを並べると、答えが出ます。年収を決めているのは役職ではありません。どの業界にいるかと、職種の経験が切れていないかどうか。この2つです。だから業界選びが超重要になります。

ここまでは、下げた本人としての話でした。次は席を替えて、金額を出す側から見えているものをお話しします。


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【採用担当の本音】年収が下がるのは市場価値ではなく「枠」の問題

【採用担当の本音】年収が下がるのは市場価値ではなく「枠」の問題


ここまでは、金額を提示された側の話でした。ここからは、その金額を決めている側の話をします。

私はいま、応募者に提示する年収を決める立場にいます。会議で「この人にいくら出すか」を話し合って、最後にその数字を伝える。あの金額が、どういう手順で決まっているのか。受け取る側にいたときには、想像したこともありませんでした。

企業の給与テーブルには上限があり、提示年収はその枠内で決まる

まず前提として、多くの会社には給与テーブルがあります。等級ごとに「いくらからいくらまで」という幅が決められている表です。

中途採用でどれだけいい人が来ても、この表の上限は超えられません。超えるには等級を一つ上げるしかなく、それは入社前の人には基本的に適用できない。提示された年収は、その人を測って出した数字ではなく、空いている枠に当てはめた数字です。

求職者
求職者

じゃあ、いくら自分をアピールしても意味がないってことですか

枠の中では意味があります。枠の外には出られない、という話です。だから同じ経歴でも、応募する企業によって提示年収は簡単に100万円変わります。


中途の年収を上げすぎると、既存社員との序列が壊れる

もう一つ、外からは見えにくい事情があります。

中途の人に高い金額を出すと、その人はいきなり既存社員の上に乗ります。何年も勤めて、少しずつ上がってきた人たちの上です。

部署が違えば給与テーブルも違うので、本来は比較する話ではありません。ですが、実際には比較されます。私の会社でも起きました。「あいつは入った時点であの条件だったのか」という話は、必ずどこかから漏れて広がります。

これは会社にとって、採用一件のメリットより高くつく問題です。だから採用側は、多少惜しい人でも枠内の金額しか出しません。出せないのではなく、出さない判断をしています。

年収が一段上の候補者ばかり紹介され、一人も採用しなかった話

実例を一つ。以前、ミドル層に強い転職エージェントに採用を依頼したことがあります。届いた候補者は、年齢もスペックも年収も、うちが想定していた層より一段上の人ばかりでした。

結果として、一人も採用していません。

理由は三つです。うちの給与テーブルの上限を超えていたこと。既存社員との序列が歪むこと。そしてうちは育てれば全員が同じ水準まで行ける会社なので、高い専門性を発揮してもらう場面がなかったことです。

この人たちは、市場価値が低かったから落ちたわけではありません。むしろ逆です。それでも落ちました。年収も採否も、こういう理由で決まっていることがあります。

非公開求人になる理由も、給与条件を社内に見られたくないから

ついでにもう一つ。求人サイトに掲載すると、想定年収やモデル給与が世の中に公開されます。当然、社内の人間も見られます。

そうすると、さっきの「あいつは入った時点で」が起きます。だから条件を晒さずに募集したいとき、非公開求人という形を使います。

非公開求人は「表に出せない好条件の特別枠」だと思われがちですが、見せられない事情があるだけ、というケースも普通にあります。

だから、提示された年収はあなたの値段ではない

ここまでをまとめます。提示された金額は、あなたの市場価値を測った結果ではありません。その会社の枠と、社内のバランスと、その業界の給与水準を掛け合わせた数字です。

私が年収を下げたときに感じた「自分の価値まで下がった」という感覚は、事実としては間違っていました。下がったのは私の値段ではなく、移った先の器のサイズだったわけです。

これがわかると判断が変わります。提示額を見て凹むのではなく、「この会社の枠がこのサイズなんだな」と受け取れるようになる。そのうえで、飲むか、交渉するか、断るかを決めればいい。

ここまでが会社側の事情です。次は、自分側でコントロールできる部分を見ていきます。

落とされたのも、下げられたのも、あなたの価値の問題じゃありません。紹介料を払う側から見た事情を全部書きました。転職エージェントに断られる理由|年収3割の紹介料を払う側の本音


転職で年収が下がる5つの理由【求職者側の事情】

転職で年収が下がる5つの理由【求職者側の事情】


会社側の事情はここまでです。ここからは、自分の側にある原因を5つ挙げます。

読みながら、自分にいくつ当てはまるか数えてみてください。当てはまる数が多い人ほど、提示される金額は低くなります。ただし、こちらは動かせる余地があります。

理由1:未経験での異業種転職は、年収ダウンの確率が最も高い

業種も職種も両方変える転職は、年収が下がる確率がいちばん高いパターンです。即戦力として計算できないので、採用側は新人に近い枠を当てます。

逆に言えば、どちらか片方だけ変えるなら守れる余地があります。職種の経験が続いていれば、業界が変わっても「同じ仕事ができる人」として値付けされます。私が未経験の業界に移って年収が上がったのは、これが理由でした。

両方を一気に変えるなら、年収は下がる前提で組んだほうがいい。そのうえで、下がり幅と回復の見通しを確認してから決めます。

理由2:現職の給与が低いと、転職先の提示年収も低くなる

中途採用の提示額は、前職の年収をベースに組み立てられることが多いです。応募書類にも現年収の欄がありますし、面接でもほぼ聞かれます。

つまりいまが低い人は、次も低く出されやすい。ここは理不尽ですが、実務としてそうなっています。相場より明らかに低い会社に長くいると、その水準が自分の値札として持ち回されてしまうわけです。

現職の給与が相場より低い自覚があるなら、動く前に一度でも昇給を通しておいてください。数万円の昇給が、次の提示額のスタート地点を押し上げます。

理由3:賞与・手当が消える|求人票の「みなし残業」の読み方

年収は月給だけではありません。賞与、住宅手当、家族手当、交通費、残業代。これらが合算された数字です。

月給が同じでも、賞与が年2回から0回になれば年収は大きく下がります。ここを月給だけで比べて失敗する人が非常に多い。

もう一つ、求人票の「みなし残業」には読み方があります。少し内輪の話をすると、うちの求人票にはみなし残業15時間と書いてありますが、実際はほぼ残業ゼロで定時に帰っています。あえて厳しめに書いています。「楽そうだから」という動機の人に応募してほしくないからです。

ここで押さえてほしいのは、こんなふうに実態より多く書くのは応募が減るコストを自分で払う行為で、めったにやる会社はない、ということです。だから一般的には逆に読んでください。

みなし残業◯時間と書いてあるなら、その時間は使う前提の会社だと考えたほうが安全です。そして提示年収には、その残業代がすでに含まれています。

求人票のどこを疑うべきかはブラック企業求人あるある|やばい会社の特徴を採用側が解説にまとめました。


理由4:役職が下がると、役職手当がまるごと消える

前職で役職手当がついていた人が、転職先で一般社員に戻ると、その分がそのまま消えます。

20代でこのパターンに当たる人は多くありませんが、リーダーや主任がついていた人は要注意です。手当の金額を先に確認しておいてください。意外と大きいことがあります。


理由5:年収交渉をしないまま入社してしまう

提示された金額をそのまま受け入れる人は、日本ではかなり多いです。交渉すると印象が悪くなるのではないか、という不安があるからだと思います。

採る側として言うと、金額の相談をされたから落とす、ということはありません。枠を超えていれば出せないと答えるだけです。聞かれずに済むなら安いほうで出す、というだけの話でもあります。

ただし交渉には順番とタイミングがあり、自分でやると事故りやすい部分でもあります。ここは対策の章で詳しく扱います。

理由がわかったところで、いよいよ判断に入ります。

地元に帰る転職を考えているなら、年収の下がり方が都市部の転職とは別物です。先に読んでおいてください。Uターン転職はやめとけ?後悔する5つの理由と成功する人の共通点


年収が下がってもいい転職と、やめとけな転職の見分け方

年収が下がってもいい転職と、やめとけな転職の見分け方


同じ50万円のダウンでも、2年で戻せるものと、一生戻らないものがあります。

金額は同じなのに、なぜ結果が分かれるのか。受けていいダウンと、絶対にやめとけなダウンの違いはここです。

下げていい:職種の経験が続いていて、業種だけ変わる転職

これは前の章でも触れた、いちばん健全なパターンです。

職種の経験が切れていないので、入社後の立ち上がりが早い。成果も出しやすい。だから次の評価のタイミングで戻せる可能性が高いんです。1割を超える下げ幅でも、この条件が揃っているなら検討していいと考えます。

ただし条件があります。移る先の業界の給与水準が、いまの業界より下でないこと。ここは必ず確認してください。


やめとけ:業界の給与水準に天井があるとき

私が失敗したのは、これです。

業界の給与水準そのものが低い場合、入社後にどれだけ成果を出しても戻りません。役職が上がっても戻りません。個人の努力では超えられない天井の下に、自分から入っていくことになります。

見分け方は簡単です。移ろうとしている会社の求人を数社分見て、同じ職種の想定年収を並べてください。会社ごとの差ではなく、業界としての幅が見えます。その幅の上限が、いまの自分の年収より低かったら、そこはやめたほうがいい。

求職者
求職者

求人を数社並べるだけで、業界の幅って見えるものなんですか

PAPAO
PAPAO

見えます!3社も並べれば、その業界がいくらまで出せる商売なのかは、だいたい掴めます。


業界ごと変える転職を考えているなら未経験からITエンジニアはやめとけ?増えすぎ・後悔の真相と成功する人の特徴も判断材料になります。


やめとけ:年収が上がる根拠が「頑張り次第」しかないとき

面接で「入社後に頑張ってもらえれば上がります」と言われることがあります。これ自体は嘘ではないのですが、判断材料としては何も言っていないのと同じです。

確認すべきは、上がる仕組みが決まっているかどうかです。評価は年何回か。昇給の平均額はいくらか。等級はいくつあり、いまの提示はどの等級か。ここが答えられない会社は、上がる根拠が本当に「頑張り次第」しかありません。

試用期間中だけ給与が低い、という形も同じです。本採用後にいくらになるのか、書面で確認できないなら要注意です。


年収ダウンを受けるか判断するチェックリスト5項目

ここまでを一枚にまとめます。返事をする前に、この5つを埋めてください。

🔍 チェック項目YESなら
💰 下げ幅は年収の1割以内か比較的、許容範囲として検討しやすい水準です。 1割を超える場合は、以下の項目がすべてYESか確認してください。
💼 職種の経験は途切れていないか次の転職でも経験を積み上げられます。 年収が一時的に下がっても、キャリアが途切れないメリットがあります。
📈 移る業界の給与水準は、いまの業界と同等以上か将来的に年収を取り戻せる可能性があります。 業界全体の給与水準も確認しましょう。
📊 昇給の仕組みを具体的に聞けたか昇給回数・平均額・等級などを確認できていれば、将来の収入をある程度予測できます。
🏠 月の手取り減少額を把握しているか毎月いくら減り、その不足分をどこから補うのか答えられるなら、生活面でも現実的な判断ができます。
年収ダウンを受けるか判断するチェックリスト5項目


判断のポイント

年収が下がること自体が必ずしも悪いわけではありません。

ただし、「今は我慢すれば、そのうち上がるはず」という根拠のない期待だけで決めるのは危険です。

いくら下がるのか。いつ取り戻せるのか。そして、取り戻せる根拠はあるのか。

この3つを数字で答えられてから、内定を受けるか判断してください。

ひとつでも埋まらない項目があるなら、返事を保留してください。保留は失礼ではありません。その場で決めさせようとする会社のほうを疑うべきです。

判断基準が決まったら、あとは下げずに済ませる方法です。

それでも「失敗したらどうしよう」が消えないなら転職失敗で人生終わり?後悔する人の5つの理由と失敗談から学ぶ対処法【20代必見】】も読んでみてください。


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転職で年収を下げないための対策方法

転職で年収を下げないための対策方法


ここまでは、下がったあとの話でした。ここからは、そもそも下げずに済ませる方法です。

やることは3つだけで、どれも難しくありません。ただし順番を間違えると全部効かなくなります。交渉から先に手をつけても、まず失敗します。

求人票の「想定年収」を分解して読む

求人票に書いてある「想定年収400万円」は、ひとつの数字に見えて中身は寄せ集めです。基本給に、賞与の見込みと、みなし残業代と、各種手当を足して作られています。

だからこの数字のまま他社と比べても意味がありません。まず中身を分けてください。

 確認すること!

  • 基本給がいくらか?
  • みなし残業が何時間分含まれているか?
  • 賞与は何ヶ月分でそれが想定年収に入っているか?
  • 手当は何があるか?この4つです。



「賞与年2回」とだけ書いてあって月数の記載がない場合は、面接で必ず聞いてください。実績ベースで支給ゼロの年がある会社もあります。想定年収から賞与分を引いた金額が、確実にもらえる額です。


内定を2社持ってから決める|交渉できるのは選択肢がある人だけ

1社しか持っていない状態は、交渉ができない状態です。私が焦って飲んでしまったのも、他に行き先がなかったからでした。

2社あると、比較ができます。比較できると、断れます。断れると、交渉になります。年収を守るためにいちばん効くのは、交渉の技術ではなく選択肢の数です。

そのためには、応募を並行で進めて選考時期を揃える必要があります。ここは一人でやると管理しきれない部分でもあります。


年収交渉は自分でやらず、転職エージェントに任せる

金額の話を本人同士でやると、どうしても角が立ちます。言い方ひとつで「お金しか見ていない人」に見えることもある。

だからここは間に人を入れてください。エージェント経由なら、担当者が金額の話を代わりにやります。しかもエージェントの報酬は決まった年収に連動するので、上げる方向に動く動機がもともとあります。利害が一致している、数少ない場面です。

私は求職者としては、ほぼ全部を求人サイトで探して自分で応募してきました。エージェント経由で入社した会社は1社もありません。それでも、金額交渉に関してだけは人に任せたほうがいいと考えています。あの場で自分の値段を自分で主張するのは、想像以上に難しいからです。

ここまでが、下げないための話でした。次は、それでも下げる決断をした場合の備えです。

「希望年収はいくらですか?」で固まってしまう人へ。答え方ひとつで結果が変わります。
希望年収の答え方で【転職が成功する人】と【失敗する人】の違い

直接応募とエージェント経由でどれくらい差が出るのかは転職エージェント経由の内定率はどのくらい?直接応募との差と合格率が上がる5つの理由【採用担当が解説】で扱っています。


それでも年収が下がったら|補助金と翌年の住民税に注意

それでも年収が下がったら|補助金と翌年の住民税に注意


ここまで対策を書いてきましたが、それでも下げるしかない場面はあります。私もそうでした。

その場合、知っておかないと損をする制度がひとつと、知らないと本当に生活が詰む請求がひとつあります。順に書きます。

再就職で給料が下がったときに使える補助金がある

失業手当を受給していた人が再就職して、前職より賃金が下がった場合、その差額の一部を受け取れる制度があります。就業促進定着手当といいます。

条件と計算方法、申請の手順は別記事にまとめてあるので、該当しそうな人はそちらを見てください。申請には期限があるので、「あとで調べよう」で流さないことだけ注意してください。

下がった分が戻ってくるかもしれません。条件に当てはまるかどうかだけでも確認しておく価値があります。就業促進定着手当とは】再就職で給料下がった時の救済制度!条件・計算方法・申請手続きを解説


転職の翌年、住民税は前年の年収で請求される

これは見落とす人が多い落とし穴です。

住民税は前年の所得に対して課税されます。つまり年収が下がった翌年、まだ高かった頃の年収を基準にした住民税の請求が来ます。収入は減っているのに、税金だけ前の水準。この時期がいちばん苦しくなります。

対策は事前の準備しかありません。転職前に、前年の課税額を確認しておいてください。年収を下げる転職をするなら、その金額を1年分よけておく計算を先にしておくと、あとで詰まずに済みます。

年収が下がる転職に関するよくある質問

年収が下がる転職に関するよくある質問


最後に、ここまでで扱いきれなかった質問をまとめます。

Q. 転職で年収が下がる許容範囲は何割までですか?

1割までです。年収400万円の人なら40万円まで。厚生労働省の統計も1割のところで区分を切っていて、令和6年上半期に1割以上下がった人は21.1%でした。

1割を超えるなら、下の5つに全部「はい」と答えられるかを確認してください。

年収ダウンを受けるか判断するチェックリスト5項目

返事をする前に、次の5つを確認してください。

🔍 チェック項目確認すること
💼 職種の経験は続いているか業界だけを変えるならOK。 同じ職種の経験を積み続けられるなら、今回の年収ダウンが次の転職で無駄になりにくくなります。
📈 移る先の業界は、いまと同じかそれ以上に稼げるか業界全体の給与水準を確認します。今は下がっても、将来的に年収アップを狙える業界なのかが重要です。
💰 昇給の回数と金額を具体的に聞けたか「昇給あり」だけでは判断できません。年に何回上がるのか、平均でいくら上がるのかを確認します。
🏠 減る分の手取りを毎月どこから出すか決まっているか月の手取りが減った場合、その不足分を貯金や生活費の削減など、どこで補うのか具体的に考えます。
📊 入社後に年収が上がる根拠があるか「頑張り次第」以外の根拠があるかを確認します。昇給制度や評価基準、給与テーブルなど、具体的な仕組みがあることが重要です。


ひとつでも「いいえ」があるなら、その場で返事をしないでください。持ち帰ると伝えれば済みます。

PAPAO
PAPAO

その場で決めなくても、失礼にはならないんです


Q. 20代で年収ダウンの転職をしたら、あとから取り返せますか?

取り返せる可能性が最も高い年代です。20〜24歳は転職で賃金が増えた人が53.2%、25〜29歳でも46.0%と、下がった人を大きく上回っています。

ただし、移る先の業界の給与水準が低い場合は別です。応募する前に、その業界の同じ職種の求人を3社ぶん並べて、想定年収の上限を確かめてください。求人サイトで職種名を検索すれば10分で終わります。3社の上限がいまの自分の年収を下回っていたら、そこは天井の低い業界です。

自分で調べるのが面倒なら、エージェントに「この業界の同職種で、上はいくらまで出ますか」と聞けば一発です。

Q. 前職の年収を高めに伝えたら、採用担当にバレますか?

入社時に提出する源泉徴収票でわかります。年をまたげば提出は不要ですが、同じ年内での転職なら手元から出すことになります。盛るのではなく、賞与や手当を含めた総支給額を正確に伝えてください。それだけで見え方は変わります。

Q. 内定後に年収交渉をすると、取り消されませんか?

金額の相談をされたことを理由に取り消すことは、まずありません。枠を超えていれば出せないと答えるだけです。ただし交渉は内定の連絡を受けた直後の一度きりにして、承諾の返事をしたあとに蒸し返さないでください。そこが一番印象を悪くします。


Q. 年収が下がると、住宅ローンやクレジットカードの審査は不利になりますか?

年収額そのものより、勤続年数の短さのほうが響きます。多くの金融機関は勤続1年以上を条件にしていて、転職直後はそこで引っかかります。クレジットカードも同じで、申込書に勤続年数を書く欄がある以上、そこが数か月だと通りにくくなります。

住宅ローンもカードも、必要なものは転職する前に作っておいてください。

順番が逆になると、次の会社で1年働くまで待つことになります。すでに転職してしまった場合は、勤続1年を過ぎてから申し込むのが確実です。


まとめ:まとめ|年収ダウンを受け入れていい転職・やめるべき転職

まとめ:年収が下がる転職が怖いなら、その感覚は正しい


年収が下がる転職を受けるかどうか。最後に、この記事で書いたことを整理します

📌 判断ポイント結論
💰 許容できる下げ幅**目安は年収の1割以内。**まずは年収ではなく、毎月の手取りがいくら減るのかに割り戻して考えます。
👤 20代の年収ダウン20代で年収が下がる人は少数派です。20〜24歳では15.4%、25〜29歳では27.7%。だからこそ、安易に受け入れる前に理由を確認する必要があります。
🏢 提示年収の意味**提示された年収=あなた自身の市場価値ではありません。**その会社が、そのポジションに用意している給与枠の大きさです。
💼 年収を下げてもいい条件**職種の経験が続いていて、移る先の業界全体の給与水準が落ちないこと。**将来的に年収を取り戻せる道が残ります。
🚨 絶対に避けたい転職**業界全体の給与水準が低く、将来的な年収の天井も低い業界へ移ること。**一度下がった年収を取り戻すのが難しくなります。
🤝 年収交渉の考え方**可能なら内定を2社持ってから交渉に臨むこと。**選択肢が1社しかない状態では、交渉の主導権を持ちにくくなります。


年収が下がること自体が、悪い転職とは限りません。

ただし、「今は下がっても、そのうち上がるはず」だけで決めるのは危険です。

見るべきなのは、今回いくら下がるかだけではありません。


  • その仕事の経験は、次の転職にも持ち運べるのか?
  • その業界には、年収が上がっていく余地があるのか?
  • 下がった分を取り戻す具体的な道筋があるのか?


この3つに答えられるなら、年収ダウンは「損」ではなく、将来への投資になる可能性があります。

私が失敗したのは、天井の低い場所へ、選択肢を持たないまま入っていったことです。

本当に怖がるべきだったのは、年収が数十万円下がることではありませんでした。

一度下がったあと、そこから上がる道がない場所を選んでしまうこと。

金額の大小ではなく、そこでした。

あなたがいま見ている求人が、どちらなのか。

それを確かめるために、いま会社を辞める必要はありません。

まずは求人を見て、自分の経験なら他社でいくら提示されるのか、業界ごとの相場はどう違うのかを比べるだけでも、判断は変わります。


エージェント対象年齢強みこんな人におすすめ
第二新卒エージェントneo28歳まで職歴が浅くても通る求人が多い初めての転職で相場がわからない
UZUZ29歳までIT系に強く、1人あたりの面談時間が長い業界ごと変えて年収を上げたい
キャリアスタート35歳まで20代後半以降も対応、サポートが手厚い30歳前後で年齢上限に引っかかる
ハタラクティブ29歳まで求人数を幅広く見られるとにかく多くの求人を比較したい
タネックス29歳まで学歴不問の求人を扱う学歴面で応募先が限られてきた人
年収や求人の相場を知りたい人向け

年齢の上限が近い人は、対応年齢が広いサービスから先に当たってください。

転職するかどうかを決めるのは、そのあとで構いません。

まずは今の年収と求人を並べてみる。

「下がるから不安」ではなく、「下がった先に上がる道があるのか」で判断する。

それが、私のように選択肢のない状態で転職先を決めないための、一番現実的な方法です。


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無料です。いますぐ辞める必要もありません。いまの年収が相場より低いのかどうか、それだけ分かれば返事の仕方は決まります(35歳まで)

PAPAO
PAPAO

高いのか安いのかも分からずに決めてしまった。それが私の失敗です

新卒バックレ→29社を渡り歩いた、元クズ社会人。
今は腰を据えて働きながら、採用する側(人事)もやっています。
辞めたい・受からない気持ちも、採用側の本音も、どっちもわかる。
転職のリアルを、自分の失敗込みでお届けします。
詳しいプロフィール → PAPAOってどんな人?

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